現代の沖縄(日本)にアメリカの軍事力があることの見方と考え方

東アジア政治

東アジアが米中の緩衝地帯となって久しいものの、現代日本の有権者は比類なき過渡期に政治的モチベーションを得たものである。筆者が高校生の頃は石原慎太郎氏(2022年没)が中国を「シナ」と呼び、マスコミに訂正を求められていた。石原氏の発言に関する議論はここでは避けるが、対中国の姿勢が政治マターとなっている現物の証拠に違いないのである。

中国が東アジアで見せる覇権論は是認しがたいものであるものの、貿易の進捗で(これを筆者は平和論的と呼ぶ)勢力圏に置かれていった国は多く、日本もその一つである。沖縄米軍基地は、古い勢力均衡に従って建造されたものだという疑いを持つべきなのだ。

ロシアがウクライナ戦争に踏み切った際、それ以前から西進の為の戦闘を継時的に行っていた事もそうだが、明確に「帝国復古」のメッセージングが国際社会にあった事は特筆に値する。この公然としたリアリズムに対して反戦を訴える事は世界の普遍的な価値観が存在する事、それは平和である、を知らしめる為に一切手を緩めてはならない。ロシアはウクライナ国内で親ロシア派がいる東側地域を編入させるべく占領したが、これを「犯罪」と糾弾する価値観を、有効な対決姿勢とみなすべきだ。ロシアの覇権論は、たとえばウクライナの西側を分断してNATOに編入させる対応では黒海の数的不利を挽回できず、ブルガリアなどが今後の標的になったままなのである。覇権論に傾いた国とは、厄介なものなのである。

中国が覇権論と平和論とのバランスを考える際に、日本に存在する米軍の軍事施設とは何一つ自明では無く、日本国政の中で民主主義を唱える人たちの声で再考されるべきである。だから軍事的な機微をブラックボックスにしたまま議論してはいけないというのも誤りである。

沖縄米軍基地に関して米軍の意図は比較的明確だと筆者は感じている。朝鮮有事や台湾有事には出動する予定だが、尖閣有事には出動しない予定だという。つまり米軍基地の目的は韓国、台湾の防衛であり、日本の島は日本が守れというのだ。そのうえで歴史的経緯(沖縄戦の敗戦)から沖縄に米軍基地がある事も明白である。朝鮮有事の際に沖縄からオスプレイを飛ばす事は合理的ではなく、2010年代以降は佐世保市から飛ばす案が検討され続けているが当該自治体が拒んで実現していない。台湾有事も、陸軍は台湾が強く、ミサイルは中国が圧倒的に強い前提で、米軍の海兵隊が応援に行くのである。ここで日本の集団的自衛権も大変重大な要素に違いなく、沖縄米軍基地と本来天秤にかけるべき議論なのである。

「沖縄米軍基地はヤマト民族が戦争で負けた罰で、琉球民族が受けている」とは極端なスピーチではあるものの、「罰」という感覚の建造物である事は推して知るべきなのである。

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